第8回 たまには怖い話とか

どうもにちりんですよ。

今日はね、趣向を変えて怪談話でもしようかと思うんですね。

夏は終わった?

いいんですよ怪談はいつしても。

そんなわけで、時はにちりんが若かりし頃。

まだ世間がPHSの登場で騒いでいた頃のお話です。


私にちりんが地球の小学校から遊んでいた友人が居ましてね、仮にNさんとしておきましょうか。

高校生になって、別々の高校に通う事になったんです。

Nさんは定時制に通っていました。

夜の学校なんて、そりゃもう雰囲気抜群でしてね、そういう噂も絶えなかったようなんですよ。

噂の範囲の事は、Nさんも結構聞いてたようなんですが、ある日突然私にこう言ったんです。

「夜、裏門の辺りに人影を見た。でも消えた。」

最初は冗談でも言ってんのかなと思ったんですけどね、元々冗談言う人でもないし、詳しく話を聞いてみると、ライトとかも持ってなくて、見回りしてるとかそんな感じでもなかったと。

いよいよオバケじゃないかって話になりましてね、別の友人誘って見に行こうって事になったんです。


時間は深夜2時。

定時制の人達が全員帰った後の学校は静まり返り、すぐにでも何か出てくるんじゃないかと思うくらい不気味でした。

友人Nと私、そしてもう1人、同じく小学生からの友人Aさんの3人で集まりました。

住宅街という事もあり、静かな行動を心がけて肝試しスタートです。

その学校はL字型になっており、曲がり角内側の所が裏門になっていました。

流石に不法侵入する訳にもいかないので、学校の周りをグルっと1周しながら、持参した36枚取りのフラッシュ付きインスタントカメラ(写ルンです)で学校の中をフラッシュ焚いて撮影していきました。

撮影しては進んで、また撮影しては進んで…

Nさんが人影を見たという問題の裏門も撮影し、全部撮り終えるくらいに元の場所に戻ってきました。

特に何も起こるわけでもなく、なんも居なかったねーなんていいながら、その日は解散しました。

次の日、私は撮影し終えたインスタントカメラを写真屋さんへ持ち込みました。

「写真がどんな状態でも現像して下さい」

そう伝えてカメラを預けました。

そうしないとまともに写ってない写真などは破棄されるし、変なものが写ってても破棄されるという噂もあったので念の為。

そして翌日、学校帰りに現像を終えた写真を受け取りに再度写真屋さんへ足を運びました。

写真が入った横長の封筒を受け取り、すぐには開けず(みんなと一緒に見たかったのと、1人だと怖かった)夜にNさんとAさんを呼び出して、3人で開けました。

いったい何が写ってるかな?

ワクワクしながら写真を取り出してみると、期待していたものは写っていませんでした。

というよりも、何も写ってない。

真っ黒なんです。写真が。

めくっても、めくっても、ただ真っ黒い写真ばかり。

それがそもそもおかしいんですよ。

フラッシュ焚いて撮影してるので、いくら夜だと言ってもフェンスや塀とかは写るはずなんですよ。

でも真っ黒。

完全に撮影失敗したと思って3人とも、ちょっとガッカリした感じでめくってたんですが、最後の1枚。

写ってたんですよ。普通に。

裏門を撮影したものだけが。

全員背筋が凍りましたよ。

でもね、それよりも好奇心が勝っちゃって。

私が言ってしまったんです。

「もう一度この裏門に行こう」

元々こういう話が苦手なNさんは乗り気ではなかったのですが、Aさんも行こうと言い出したので、半ば無理やり行くことになりました。

Nさんが学校から出てくるのを待って、深夜まで時間を潰し、再び丑三つ時。

あのの裏門へと3人でやってきた。

鞄から写真を取り出し、確認する。

辺りはどっぷりと闇に包まれ、頼りになるのは1本の街灯のみだった。

写真の風景と実際の風景を照らし合わせ、変なものがないかを確認していると、ジジ…ジジジ…という音と共に、1本しかない街灯が消えた。

不運としか言いようがないが、街灯が消えてしまったせいで真っ暗になり写真が確認出来なくなってしまったのだ。

今の時代のようにスマートフォンなどなく、懐中電灯も持ち合わせておらず、30分ほどその場で雑談をして待ってみたが、街灯が点く事はなかった。

「仕方ないね。今日は帰ろう」

そう言ってトボトボと歩き始め、少し歩いた所で何か気になって振り返ってみた。

が、そこには何も無く、ただ1本の街灯が夜道を照らしていた。